まず最初にめちゃくちゃ言っておくのだけれど、俺は前回大会の本戦進出者である。
天下一風に言うならば(-/-/予/本)である。2度目の出場で本戦もぎ取ってるのだから、今から思うとなかなかのもんである(ただ当時の時点でもそこそこのベテランだったくせに、その勝ち方はビギナーズラック的な部分も大きかった)。
今の世代(特に第15回大会までの松澤さん主催だった頃の天下一に出場したことがない世代)に比べると昔の世代の天下一にかける意気込みといえば並々ならぬもので、「天下一の本戦に行ったことがあるかどうかで大喜利人生は大きく変わる」「天下一の本戦進出は履歴書に書ける」「ちゃんと実力が無いと、天下一の本戦には絶対に行けない」などとベテランたちは口を揃えて言う(言われた)。
俺はというと第15回大会には、本当に「大喜利始めてそろそろ半年か」だった頃に出場していて、1答すごくウケて1stステージを3票で敗退した。
で、そこから時を経て第16回大会の時はいろいろとメンタル終わってた時期になんとか……という感じで予選を突破するみたいなことがあって、そこからさらに3年くらい空いての今大会である。
正味なところ俺は自分よりもベテランの人たちのそれに比べると「天下一!!!!」という熱量はそんなに高くなくって(※単に自分なりのメンタルコントロールの結果)、いつも通りやりましょやへっへっへ、という超気軽なスタンスで迎えた本番だった。
前回開催された時は東京予選1〜3を全部観覧した上で東京予選4に出場したのだけれど(負けた後大喜利観るのしんどいと思ったから)、今回も同じ理由でできるだけ後半にしたかったのだけれど、東京予選3〜4の日は仕事だったので、東京予選2にエントリーした。
で、東京予選1の観覧もすることなく、昼からカフェドクリエでサクナヒメをやっていた。
俺が若手の大喜利プレイヤーにアドバイスをするとしたら「天下一の予選は、自分が出てない予選でも絶対に見ろ! 関東圏のありとあらゆる場所から集まる猛者たちの戦いを観る経験は、絶対に糧になるから!」と言うと思うのだけれど、その肝心の俺は出番である予選2まで思いっきりゲームをしていた。
この辺は自分なりに大喜利との向き合い方を考えた結果、自分にとって最良の距離感がこれなんだろうと思ってのことで(この辺は本当に親しい人にしか話していないので割愛)、正直なところ予選はちゃんと観たかったという気持ちもちゃんとある。
予選1の結果は電車の中で知った。
oさんが本戦初進出で、「そりゃそうだろ」と思ったので本当にあっさりと「通った?」とだけLINEした。
oさんは公式サイト的にはちょっといろいろな経緯があって反映されてないみたいだけど、いわゆる予予予予ーズの一員で、そこから1人本戦に突破したという事実が、この後の大きな伏線になるとはこの時の俺は思っていなかった。
ヨリミツさんが2大会連続で本戦行ってるのも、あなたここ最近ほとんど生大喜利やってないでしょ的な感じからするととんでもない偉業である。
手すりさんはバケモノみたいな点数とって本戦行ったらしいけど、この人の爆発力はよく知ってるので、これもまあ「でしょうなあ」というふうに受け止めていた。ライバル指名した相手がちゃんと活躍してるのはめでたい。
前回は自分と同じく予選4で本戦進出を決めていながら出場辞退となった大久保八億さんも改めて本戦を決められたようでよかった。
おーはらさん、ぶちゃんさんも爆発力のデカさは知っているので「おおー来たかあ」という気持ちにはなりつつも、ある種の納得もありつつ。
自分の出場はDブロックで、早くもなく遅くもなくやりやすい出順。
フェスタ、星野流人、元11才、見習い怪獣、及川広大、千代園ジャンクション、という並びで、自分は横並びのプレイヤーが誰かということよりも「テーブルの真ん中の席だから、左右に人が座っているのでフィジカル回答で動きづらそうだなあ」ということを考えていた。
1問目は「プロスポーツの審判がVTR検証中に爆笑した理由」。
これは初手に、人間が3人横並びになっている絵をホワイトボードに描いてから、自分の顔の横に並べて出す形で「真顔の新井貴浩が4人並んでゆっくり動いている」と答えて、かなりウケた。
(↑ちなみにこれのこと)
野球知ってる人なら絶対ウケると思ったけれど、予想以上に会場全体に響いてウケたのでかなりありがたかった。
それとこれは余談というか、後から椙田さんに言われて気づいたのだけれど、俺は前回の本戦進出を決めた天下一の予選で、新井さんが飛び回っている画像お題を答えていたのだった。
その時の回答はそんないい回答が出せなかったので苦い思い出なのだけれど、巡り巡って今新井さんの回答で天下一でめっちゃウケれたというのは、なんだか妙な縁である。
閑話休題。
1答目で大きくウケたので結構内心では安心していたのだけれど、隣で元11才さんが追撃するようにウケてくるので全然休んでる場合じゃなかった。
その後も野球関連の回答をいくつかつづける。
バットをスイングした後、十字を切って核心歩きする動きをした後に「いやー、ギリファールだったと思いながら見るとおもしろいですねえ」と回答して、これもまた拍手笑いに繋がり、1問目はかなり優位に進められたなというかたちで終えることができた。
これあとからoさんに指摘されたけれど、お題では「プロスポーツの審判が」としか言っていないので、別に野球じゃなくてもいろんなスポーツを使ってもよかったらしい。
ただ俺が一番詳しいのはやきうなので、そこに気づいていたとしても野球一点突破していたと思うけど。
2問目は画像。おじいちゃんが寿司持ってる画像。
自分は画像お題苦手だけれど、このお題は要素がわかりやすくてとっかかりを見つけやすかったので、比較的やりやすかった。
とはいえそれがすぐにウケに直結するかというとそんなことはなくって、結構序盤から中盤にかけて苦しんだ。
隣で元11才さんがウケているのと、隣のテーブルから見習い怪獣さんがめちゃくちゃデカいウケを出しているのを横目に、内心でちょっと焦りが出る。
天下一は文章画像の2問の印象審査なので、1問目の貯金がどれだけあろうが2問目で滑り散らかせば票は入らない。
とはいえ1問目の印象的にはたぶん1位だろうなという腹積りでいたので、とにかくお題に添い続けて悪目立ちせずにある程度以上の当たりを続けていればなんとかなるだろうという気持ちでもいた。
そんな感じで多少頭が冷静だったせいか、最後の最後で「(手前側で子供が)ギブミースシ。ギブミースシ」「ハッハァ!」「ギブミースシ。ギブミースシ、プリーズ」「ワシが敗戦した頃はもっと必死だったよ!」という回答を出して、これが拍手笑い。
オッケー、大丈夫! 少なくとも開票の時にドキドキできるくらいの順位にはいる!
とはいえ元11才さんと見習い怪獣さんがウケてるのは、やりながら体感で分かってはいたので、ちょっとだけ不安でもあった。
終わった後に会場内外でいろんな人に探りに行ってみたところ、「流人さんが1位だと思う」「元11才さんが1位だと思う」「及川さんもウケていた」といろんな意見が分かれまくっていて、マジで分からねえな、でも通ってるといいのだが……という感じでいた中で元11才さんともお話しできて、「一緒に通過できたらいいですね」的なことを言って、そして結果発表を迎える。
結果、49票獲得で俺が1位抜け。まだ1stを勝っただけなのにめちゃくちゃガッツポーズしたしoさんからもめっちゃ肩叩かれた。
体感的にかなりウケてたと思っていた元11才さんは12票で3位で、これはかなり意外だった。
2位は及川さんが22票で抜けていて、たぶん俺から席が遠かったからどんな感じの回答を出してるかとかどのくらいウケてんのかとかを意識することができてなかったんだと思う。
(俺の場合は集中していると他人の回答や情勢を全く意識しなくなるので、状態としてはかなりいい状態ではあった)
この後2ndで当たる羊狩りさんが72票で爆勝ちして上がってきてて、「仲良い人とこういう真剣勝負の場で当たるの気まずいから本当に勘弁してくれ」と思ったし、実際言った。
2ndは星野流人、及川広大、マニラザル、おせわがかり、羊狩り、手汗の席順。
「席が端っこだ!やりやすい!」と思った。相変わらず誰と当たるかとかはほとんど意識してない。いや、羊狩りさんだけは意識していた。観客席で席近かったし。
呼び込まれて舞台上に上がってから、Redさんがパソコンをガチャガチャやりだして(パワポに画像お題が貼れてなかったらしい)、ちょっとの間舞台上で空き時間があった。
その時ふと軽く視線を振ると、隣のテーブルで羊狩りさんがすごく思い詰めた表情で碇ゲンドウみたいなポーズしてるのが見えて、「あ。まずいな」と明確に思ってしまった。
最初にも触れたことなのだけれど俺は天下一に対してあんまり執着がなく、勝てれば文句ないけど負けてもまあ別にくらいのスタンスで向かっていたので、そこにあそこまでの「ここまできたなら何を差し置いてでも」みたいな気迫を見せられてしまうと、かなりまずい。
俺はそういう熱量を捨ててしまったのだけれど、ここ一番の大舞台で勝負を決めるのはやはりそういう熱量に違いないとも思っていて、そういう熱量を持っているのを知っている人の抱えている熱量を直に見せつけられてしまって、「あ。これ、生半可では負けるわ」と胸に鉛玉を落とされたような息苦しさを感じてしまった。
1問目は画像。ヒエーなんだこれ。苦手ぇ〜。
正直なところどこをとっかかりに攻めればいいのかまったくわかんなくって、ペンは止まらなかったものの「ここだ!」というひらめきは何にも得られなかった。
1答目が他の誰かの回答と要素が被っていて「いやでも回答の核が違うから大丈夫だろ」と踏んで出してみたところ、それが「被ってしまった」という感じの空気になってしまったのが痛かった。いやそもそも単に回答そのものの強度も弱かったので、これはちゃんと反省した方がいい。
「回答オープン! 犬も歩けば、『風呂は毎日』……東大インテリチームざんね〜ん!」という回答がどうにかギリウケたくらい。(拍手笑いまで持っていけてたかすら覚えてない。届かなかったか?)
2問目は文章。
「私たちは神の使いです」と言い張るロックバンドが起した奇跡とは?
これ!!!!!!!!!!!
俺はこのお題めちゃくちゃ悔いています!!!!!!!
3分あるうちの2分30秒くらい、「神の使い」の部分完全に無視してました!!!!!!!!
かなりもったいない!!!!!! 神の使いの部分をうまく生かせばもっといい回答……少なくとも自分的に納得できる回答いくつか出せたでしょ!!!!!!!!
聖☆おにいさんの知識とかを総動員すれば、少なくとも前半の画像お題での遅れを取り戻して、本戦行けないまでも「いや〜どうですかね。本戦当落ラインくらいには残ったと思うんすけどね〜へっへっへ」とか言いながら結果発表迎えられるくらいまではいけたでしょうに!!!!!!!!
これは完全に焦りです!!!!!!!1問目そんなウケてなかったのと、対戦相手の気迫に負けて勝手に掛かって負けてしまいました!!!!!!
マジでこれは悔しい!!!!!!!!!
いや実際自分がこれで拍手笑い出せたかどうかまでは分かんないけど、でも後から振り返ると、画像お題と比べてみても明確に「もっとやれたでしょ」という気持ちが強くて、いや負けるにしてもせめて自分自身で大喜利ちゃんとやった上で負けたかった!!!!!!!!!
最後の最後で出した「石をパンに、水をソールドアウトしたはずのチケットに変えた」は、そんなウケはしなかったものの回答として自分の好きなものを出せたので、これだけは納得してるけども……。
これは本当になんだろう、純粋に悔しいという気持ちが強くて、これは糧になるタイプの悔しさなんじゃないかなって思っている。
結果、そんな出来でも自分にも6票入っていて、掛かってはいたけど掛かってたなりに自分を貫いた大喜利をした面自体は評価してもらえてたのかなとも思ったりしたのだけれど。
……2ndステージ終わって投票するとき、自分の投票用紙を「1/1/1」で記載していて(自分のブロックが自分の1で、他のブロックも1の人に投票していた。他のブロックで誰に投票してたかバレる!)、「これめっちゃ投票やる気ない人の投票用紙みたいじゃん!!!」と思ってしまった。まじめに投票しましたよ。
返り咲きの冬の鬼さん以外のおせわがかりさん、からまきさん、かねかわさんは初本戦、羊狩りさんといい女(お粥)さんは予予予予ーズから突破していてかなり会場は熱くなっていた。若手大喜利プレイヤーへ。これが長く大喜利するってことだ。
羊狩りさんが本戦決めた後、観客席に戻ってきた時「とりあえず俺より上の3人毒殺すれば、俺本戦出れるかな」と声をかけたら「計算早いな」と言われた。
以下、印象的だった回答。
完璧だったはずの女装が見破られた理由
・男が思う女性の姿だった(ネオ)
嘘をつくたびに鼻が伸びてしまうピノキオが現代社会で生活したときのエピソード
・「まだ働けます」と言って伸びた鼻にワイシャツ干された(しゅごしゅぎ)
全然何もわかっていないアイドルオーディションの審査員のコメント「◯◯◯」
・なんで他人の歌を歌ってるんですか(冬の鬼)
・これ、タダで見ていいんですか!?(ピンクマン)
・カメラが回っていないと、あんな怒られるだけなんだ(おせわがかり)
・1輪の花を守り抜けなかった(MA)
「早く工場長に知らせなきゃ!」何を?
・ビール6つ(中野止まり)
・工場長……I(アイ)場長!?(羊狩り)
・別れるってなったらすごい喋るじゃん(羊狩り)
・みんなの中身、何?(かねかわ)
・一瞬だけワニが入ってきて、すぐ消える(せんだい)
・君が嫌いだって言っていた子たちだよ(国井)
・大根(塩鮭)
・ごぼう(塩鮭)
・ニンジン(塩鮭)
・ニンニンジン(塩鮭)
・ニンジンジン(塩鮭)
意識高い系の人たちが取っ組み合いの喧嘩をしながらこんなこと言ってた
・(胸ぐらを掴んで引っ張り上げながら)こうやって、業績を上げんだよ!(セブ牛)
・じゃあね、タスクくん(予備校)
「ぼ、ぼくは、お、おにぎりが、好きなんだな」みたいだけど本当はメチャメチャ理知的なんじゃないかと思った裸の大将のセリフ
・しゅ、シュークリームは、フランス語で、稲妻って意味なんだな(※爆速で橋本さん「エクレアだよ!!」)(冬の鬼)
大会が終わった後、oさん羊狩りさんと3人で写真を撮ることになって「いや俺だけ落ちとるんじゃい!」とツッコんだりした。
この俺だけ落ちとるんじゃいムーヴは来年の1月の天下一本戦が終わるまで続いたという……(予言)
とにかくこれで俺の第17回天下一は終わってしまいました。
これからは(-/予/本/予)としてよろしくお願いいたします。